コラム◆IT散歩 第2回:「戸籍とマイナンバーとITと」(前編)

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コラム◆IT散歩/第2回:「戸籍とマイナンバーとITと」(前編)

2018.06.01

今回は「戸籍」や「住民票」など「行政サービス」における「非ITサービス」について書き留めたい。

母が4月に息を引き取り「死亡」に絡んで様々な手続きが必要となった。

しばらくは“悲しむ”というより“アタフタした”時間であった。その“アタフタ”の1つに「行政の非ITサービス」がある。

・「戸籍」の遡り

母の銀行口座は死亡を報告したと同時に凍結、それを相続するにあたり「“全て”の母の戸籍」が必要となった。

母は東京生まれの東京育ち。

現在の本籍である区と結婚前の区、2つの区役所にて完結すると思っていたが、以前の区役所にて「その前は群馬県ですね。」

その日に処理を終えたかったので、それなりにショックであった。今まで知らなかったのも恥ずかしい話だが、父親(私の祖父)が本籍をしばらく移していなかった。

区役所の窓口の方は「銀行は出生から死亡まで、全ての戸籍が必要ですからね~、群馬に行くか郵送で依頼してください。」

記録はブロックチェーンのように繋がっているはず。なぜ1か所で事務処理を完結できないのか?

軽い口調で「群馬県ですね」ではなく、是正できないのか?IT化以前に“縦割り”だ。

なお、銀行もなぜ全ての戸籍が必要なのか?口座開設以降で良いではないか(*)、とも思いながら、群馬の町役場に電話。そして、群馬では三箇所の本籍移動があることも判明。

(*)相続人特定のため、現状においては必要と後に理解。

「戸籍謄本(実質は除籍謄本)の申請書を町役場のホームページからダウンロードし記入して、XX円の定額小為替と返信用封筒に切手を貼って同封し、送ってください」と町役場の女性が電話でやさしく、やさしく教えてくれた。

ネット時代に口座振込でもなく「定額小為替?」と思ったが、女性に言っても仕方ない。コラム第1回のアマゾンのサービスと比べれば雲泥の差だ。返信用封筒と切手までこちらが用意しなければいけない。「枚数が多く重くなるので、A4封筒で、それなりな額の切手を・・・」と、これもやさしく教えてくれた。

現在の区役所で得た最新戸籍(除籍)は電子化された横書きのもの。が、その前の区での戸籍は縦書きで手書き、そのコピーだ。これは「改製原戸籍」。

・「戸主」という今はなきもの

戸籍制度は、昭和32年と平成6年に改製があり改製前の戸籍を「改製原戸籍」という。現在の現(げん)と間違えないよう「原戸籍(はらこせき)」とも読むらしい。ここには「戸主」が記載されている。昔は「戸主権」というものがあり、家族に対する支配や権利を持つ強いものだったが、現在「戸主権」は廃止され、「戸籍筆頭者」の意味しか持たない。

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・そもそも「戸籍」とは何か?

【戸籍とは】

個人の氏名、生年月日、父母との続柄や配偶者関係などを記録するもの。夫婦および子を単位として、それぞれ出生から死亡にいたるまでの身分上の重要な事項が記載されている。(現在の区ホームページから)

「戸籍」は「“私は誰”を証明する」ものであると言っても良い。

「戸籍」に関する管轄や事務手続き等については「戸籍法」が定めている。

一方、「住民票」との違いは何か?

【住民票とは】

住所や世帯主など皆さんの居住関係を記録したもの。(現在の区ホームページから)

「住民票」に関しての管轄や事務手続きについては「住民基本台帳法」に定められている。

「戸籍」は「属人的登録」であり、「住民票」は「属地的登録」と言えるだろう。なお、「本籍」は戸籍が置いてある地のことで「本籍法」という法がある。

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本籍は皇居に移すこともできる。皇居を本籍にしている人が何人いるかは分からないが、生まれた場所でもなく、住んだ場所でもないところに移すことができる。しかし、移動すればするほど今回のようなケースでは大変な重荷になる。

・「戸籍謄本」「戸籍抄本」とはもう言わない

先ほど「改製原戸籍」という話をしたが、現在の区のホームページに「戸籍事務の電算化」に対する説明文があった。

「平成15年11月から戸籍をコンピュータで処理し証明書の発行をしております。コンピュータ化に伴い戸籍証明書の名称が『戸籍謄本』は『戸籍全部事項』・『戸籍抄本』は『戸籍個人事項』に変わりました。また、コンピュータ化後の戸籍証明書には、法令により、婚姻や死亡等で既に除籍された人は記載されず、また、個人の記載事項が一部省略される場合があります。従前の記録のある戸籍が必要な場合は、『平成改製原戸籍』を請求してください。

「戸籍謄本」「戸籍抄本」は一般的な呼称として市民権を得ていると思うが、コンピュータ化に伴い名称が変わっている。別の呼称ではなく変わったことを知らなかった。また、出生から死亡までの戸籍を必要とする場合は、「改製原戸籍」が必要であるとされている。コンピュータ化に伴う改製によって「戸籍証明書上」はチェーンが外され、遡ることができないということか。

・「無戸籍」と「誰も知らない」

話は少し変わるが、「無戸籍」の人は日本において1万人以上いるとのこと。

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先日、カンヌ映画祭において是枝裕和監督の「万引き家族」が最高賞である「パルムドール」を受賞した。2004年の是枝作品映画に「誰も知らない」がある。この映画もカンヌ映画祭において、主演の柳楽優弥が最優秀主演男優賞を獲得している。

「誰も知らない」は、1988年に発覚した「巣鴨子ども置き去り事件」を題材としたもの。父親の蒸発後、母親が四人の子どもを育てていたが、恋人と暮らすため幼い兄弟の世話を長男に任せて家を出てしまった。母親は生活費として毎月数万円を送り、時折様子を見にきていたようだが、それも途絶えがちになり、アパートの大家が警察に通報し発覚した。

調査において、二歳の三女が十四歳の長男の友達に折檻されて死亡しており、遺体は雑木林に捨てられていた。また、妹以外にも生まれて間もなく亡くなったとみられる白骨化遺体が発見された。

そして、二歳から十四歳までの四人の子どもたちは、いずれも出生届が提出されておらず、「無戸籍」だった。

「戸籍」は、出生や死亡、何かの手続きが必要な時以外は空気のような存在だ。あって当然のものだが、それに触れることがない。「無戸籍」がどれだけの不便、国民としての不都合となるかは「戸籍」を持っている国民は実感として分からない。

「無戸籍」の原因として「嫡出推定」があるといわれる。生まれた子どもの父親は誰かという「嫡出推定」が民法のもとにあり、それが絡み「出生届を提出しない」ことも多いらしい。

女性が離婚後に再婚できるまでの期間は、6ヶ月間から100日に改正された。なお付帯条件もあり、適用されないこともある。

そして再婚後の出産に絡んで、民法772条により

という「推定」がある。

出産という事実が明確な母親と違い、父を推定するための処置だ。しかし、「受精から出産に至った日数」は平均が280日±15日というデータもある。また、早産の場合もあるだろう。それでも300日以内の場合は「前夫が父」になる。前夫とは関わりを持ちたくないといった理由などから、躊躇し出生届の提出をしない場合があるらしい。前夫側も自分が父ではないにも関わらず、子どもの父親になってしまう。変更にはそれなりな手続きと労力が必要だ。

戸籍についていろいろ調べてみると旧態依然とした制度でもあり、社会的な問題もある。そして、IT化からは間違いなく遅れている。行政側も「サービス」という側面を考えているとは言えない。

次回後編は、引き続き「行政サービス」を主体として、「マイナンバー」や「デジタルガバメント実行計画」での「デジタルファースト」「ワンスオンスリー」などについて書きたい。

(後編に続く)

文責:永井一美

            

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