第5回「ローコード開発ツールの将来性」

第5回「ローコード開発ツールの将来性」

◆ローコード開発ツールの変遷

昔のネット記事を検索していたらこんなのを見つけました。某ツールに関する2003年の記事です。
「革命的なソフトウエア開発手法か、単なるデマカセか?「〇〇〇」にはいまだに“謎”と“うさん臭さ”が付きまとう。」(一部抜粋、固有名称は伏字)
今では使われないような単語が多用された厳しい論調の記事です。もちろんこれが全てでは無いですが、今から約20年前のローコード開発ツールに対してはこのような見解もあったという訳です。

◆うさん臭い?が使えるツール

うさん臭い?が使えるツール

18年間SEとしてシステム開発に携わっていた私が2005年に転職先で出会ったのがGeneXusというローコード開発ツールでした。私自身、最初は「そんなにうまい話がある訳無い!どうせ胡散臭いツールだろう!」と思っていました(笑)

しかし自分の手で触ってみてビックリ!「これ、意外と使えそうだ!」と考えがガラリと変わり、それまでは“うさん臭い”と思っていたツールをお客様に「うさん臭い」と思われながら売り歩く側になりました。その後、取り扱うツールは変われども、今だにローコード開発業界の末席に居候しております。

◆“作らない”システム開発⁉

ローコード開発ツールを使ったシステム開発を「作らない開発」と呼んでいた時期がありました。今では開発自体を全く行わずにSaaSやパッケージを利用することが当たり前の世の中になっています。

ガートナーは「バイモーダルIT」を提唱しています。現代の企業には特性が大きく異なる2種類のIT、いわゆるSystems of Record(SoR、モード1)とSystems of Engagement(SoE、モード2)が存在するという考え方です。

モード1は効率化や合理化のために構築されたシステムのため、SaaSやパッケージの適用に向いています。モード2は独自のサービスや他社との差別化が求められる領域のため、最新の技術を駆使したシステム開発が求められます。このモード2にこそ、ローコード開発ツールを利用するべきと考えています。

◆ローコード開発ツールの将来性

ローコード開発ツールの将来性

私がローコード開発ツールに関わり始めてから17年が経ちました。この間、ローコード開発ツールは種類も増え、また、クラウド上で完結するものが出来るなど、利用者の選択肢は大きく増えましたが、基本的な機能性については当初とそれほど変わっていない印象です。

その反面、サービス(SaaS)やパッケージの利用は大きく増えています。
下記のようなデータがありました。

★「ERP/パッケージ/SaaS/その他ツール」の使用率

2016年:11.7% ⇒ 2020年:35.5%
(出典:ソフトウエアメトリックス調査【システム開発・保守調査報告書】2020年版)

少し前の数字ではありますが、5年間で3倍になっています。システムを全く作らないで導入する機会が増えているという訳です。

それゆえ、企業において従来はオンプレミスのデータが”正”であり、SaaS上のデータをオンプレミスのデータベースにコピーする等の対応をしていましたが、今ではそれが逆転し、特にSFAやCRMの顧客マスター等についてはSaaS上のデータが”正”である事がごく普通になっています。この傾向は益々進むものと思います。

よって、これからのローコード開発ツールを考える上では、データの置き場所を意識しない“ハイブリッド”なシステム構成を念頭に置き、データがどこにあってもデータを統合出来るような仕掛けが必要になるのではないか、と思います。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。次回は「ローコード開発ツールの新しいカタチ」について考えてみたいと思います。

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