第3回「ローコード開発ツールの選び方」

第3回「ローコード開発ツールの選び方」

◆ユーザーの視点で・・・

ユーザーの視点で・・・ width=

初回のコラムで自己紹介の通り、私はSE出身の営業です。思えば、私のSE時代にはまだローコード開発ツールが普及していなかったので、私はローコード開発ツールのユーザーの立場を経験したことがありません。よって、私の意見はローコード開発ツールのベンダーの立場からのものであることを予めお断りしておきます。(しかしながら当コラムでは自社の製品にだけに焦点を当てようとしている訳ではありませんのでどうぞご安心下さい)

◆ローコード開発ツールの選び方

ローコード開発ツールの選び方には様々なポイントがあると思いますが、「どれが良くてどれが悪い」という観点で論じられるべきものではなく、“ユーザーがやりたい事”とそのツールの“特性(=出来ること/出来ない事)”とのマッチングによって選ばれるものであると考えています。
前回のコラムでローコード開発ツールの7つの分類を考えてみました。「実行環境」「カバー範囲」「プログラミング言語」「開発環境」「マルチ対応」「ライセンス体系」「価格」の7つです。導入に当たってはこれらのポイントそれぞれについて“やりたい事”とのFit&Gapを調査検討する必要があります。この中で特に重要と思われる「実行環境」「カバー範囲」「マルチ対応」について掘り下げてみたいと思います。

ローコード開発ツールの選び方

〇「実行環境」
開発したリソースを動作させるために、「.NET」や「Java」などの『標準の環境でOKなもの』(標準環境TYPE)と、『専用の実行環境が必要なもの』(専用環境TYPE)の2種類があります。『標準環境TYPE』は環境構築が容易であり、利用したい環境にマッチしていれば使いやすいと言えます。但し、標準の環境で動作すると言っても、一般的には保守の際には生成されたソースコードに直接手を加える事は出来ず、開発ツールを利用する点にも注意が必要です。
『専用環境TYPE』は実行エンジンやフレームワークをサーバーやクライアントにインストールする必要がありますが、『専用環境』側でマルチ環境への対応を行っているものもあります。 また、『標準環境TYPE』『専用環境TYPE』のいずれも、ツール側でOSのバージョンアップやブラウザのバージョンアップなどの環境の変化に追随してくれるものでなければ、システムの継続性を担保することが出来なくなる事にも注意が必要です。これに関しては過去~現在までの対応状況で確認することができます。

〇「カバー範囲」
一般的には最近人気のあるローコード開発ツールは“UI~サーバー処理~データベース”の全ての処理を“一気通貫”で作ることが出来る、いわゆる「フルスタック型」が主流です。全てに対応している事で高い生産性を実現しますが、システム開発においては「部分的な領域だけを手間をかけずにローコードで開発したい」というニーズも少なからずあります。(特に大規模かつ複雑なシステムにおいてはそのニーズは高いと思います)「フルスタック型」でも部分的な対応をすることはできますが、“開発の容易性”や“コスト”を考えた場合、部分領域のみのローコード開発には「パーシャル(部分)型」での対応も検討の価値があると思います。

〇「マルチ環境」
昨今の“DX”の時代においては、システムの利用者環境は多種多様です。昔はPCだけに対応すればOKでしたが、今やスマホやタブレットへの対応も欠かすことが出来ません。直近の課題だけではなく、将来をも視野に入れて「マルチ環境」への対応の要否を決める必要があります。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。次回は「ローコード開発ツールのメリット/デメリット」について考えてみたいと思います。

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