コラム◆IT散歩/第7回:「UI・UX雑感(その2:色、その不思議−2)」

プレゼンテーション・レイヤーを語るにあたり、重要な点が「UI」「UX」。今回は、「色」についての2回目。

「UI」「UX」とは何かに関しては以前にも書いた。以下のホワイトペーパーを参考にして欲しい。
「What’s UI,What’s UX(UIって?UXって?)」

前回「色とは何か」、また“残像”に関連する不思議な映像を紹介した。まず、「色」についての前に“眼の不思議”の続きとして「トロクスラー効果」という現象を見てみよう。
この図の中心(「+」)をずっと眺めてください。

なぜか、周りの「色が付いている丸」が消えていきます。

この現象は、中心に対して集中するために余計な情報は消し去るということのよう。
あるモノに対して集中できるよう、調整される。正しい反応なように思うが、一方では、まさに“周りが見えなくなる”ということではないだろうか。

では、本題の「色」に話を戻したい。

モノの色はなぜ、その色に見えるのか。これも前回書かせていただいた。

「植物の葉」はなぜ緑色なのか。

植物は葉緑素を持ち、光合成を行っている。葉緑素にとって必要な光は短波長か長波長の光であり、中波長は必要としていない。中波長の光とは緑の光だ。

短波長・長波長の光は吸収され利用される。そして、葉にとって必要のない緑の光が反射・透過し、結果として私たちはその光を見ている。

「植物の葉」にとって必要のない光の色が「葉の色」として認識されているということ。一方で昆虫を引き寄せる、花を目立たせる、ため「花の色」はほとんどが緑ではない。

話は昔。高度成長期において、「三種の神器」と言われたものがある。若い方は知らないと思うが、「白黒テレビ」、「洗濯機」、「冷蔵庫」の3つ。「電気」で動くものが使われだした時代だ。

その後、カラーテレビが普及する。普及前、“人の夢は白黒だった”という話がある。考えてみると、自分の夢に“色が付いている”かどうか、意識したことはないけれどそうなのか。

前回、「色は光」である、そして網膜の奥に「桿体(かんたい)」と「錐体(すいたい)」という2種類の光検知細胞があるとも説明した。


図:Rod cell=桿体、Cone cell=錐体

光を眼で、光検知細胞を通して脳で認識する。色を認識する。
しかし、認識は眼からだけではない。

光、色彩は皮膚でも認識している。人の目に見えない光である紫外線は、人体に当たると50%が反射し、50%が体に取り込まれ熱となり、ビタミンDを作る働きをする。

そして、光により私たちの筋肉は緊張と弛緩を繰り返す。また、体は種々の元素から成り立ち常に振動いるから、その振動が光の波長(振動)に呼応する。これをシナジーと言う。色は皮膚に、人体にも影響を与えている。

G・ブライハウスという研究者による筋肉反応のテストで、普通の光よりも赤色光のもとでは反応が12%素早くなるが、緑色光になると反応が遅れることを突き止めている。

また、時間感覚として暖色系は時間が長く感じ、寒色系は時間を短く感じる。結婚式場の深紅の敷物は、こうした場でのシンボルカラーであると同時に時間を長く感じさせる効果を狙っているらしい。

そう、色は“感情”に影響を与える。

この図は、色の「嗜好順位」。1位が一番好まれる。上段と下段、みなさんはどちらが好みでしょうか。


図:色の嗜好順位

いかがですか?上段は「成人の嗜好順位」、下段は「幼児の嗜好順位」。下段が好みの人は幼児、良い言い方をすれば若いということでしょう。

黄色が極端ですね。成人では一番下だが、幼児ではトップ。

「黄色」を好む人は、自己実現に対する思いが強く明るい人、一方で抜け目のない人のようです。また、責任を避け自由に考え行動します。 “抜け目がない”以外は、幼児気質に合っている気がする。成人になると人生の機微を知り、単純な明るさを拒否するのかも知れない。

また、色は「重さ」にも影響を与える。
同じ重さのものを、白い包装紙と黒い包装紙で包んでみると黒は白より約2倍の重さを感じるらしい。

実験結果として、黒は白より1.87倍、心理的に重く感じることが分かった。明るい色は軽く、暗い色は重い。

多くの人がビジネスでの資料や、プレゼン資料において何か強調したいときによく使う色、それは「赤」だろう。

red_mark

「赤」は様々な表情を持っている。

・情熱的 ・エネルギッシュ ・行動力 ・自信
・欲求不満 ・危険 ・衝動的 ・興奮
・アグレッシブ ・自己中心 ・注意…

「危険」や「注意を引く」として交通標識に利用されているのは誰もが知っている、見ている。

海外の交通標識も注意を引くべきものは赤が多い。

余談だが、交通標識は、統一できるものについて世界で統一すべきだと思う。外国人の事故を防ぐ1つの手段だろう。

また、画像のような女性の口紅が顕著だが、「情熱的」「刺激的」。

体を流れる血の色と同じであり、身体との繋がり、人と人との繋がりを「赤」は感じる。

弊社のお客様は金融系が多いが、銀行を特定する際に「色」で表現することがある。

ビジネスマンなら誰もが知っているだろう。

「青の銀行」と言えば「みずほ銀行」のように。

前回、色相環についても表示したが、色相環表示に三大メガバンクのロゴを付与した。

各銀行がロゴおよびカラーに込める意味は、それぞれの銀行HPを閲覧してください。
カラー(色)にはもちろん意味があります。

〇みずほフィナンシャルグループ 「ブランドロゴ」

 https://www.mizuho-fg.co.jp/company/policy/brand/b_logo.html

〇三菱UFJフィナンシャル・グループ 「経営ビジョン・CIなど」

 https://www.mufg.jp/profile/philosophy/

〇SMBCグループ 「ビジュアル・アイデンティティ」

 http://www.smbc.co.jp/aboutus/profile/vi.html

なお、SMBCは図中の「フレッシュグリーン」だけでなく「トラッドグリーン」も使っている。

「色」が「重さ」に、「感情」に影響を与える話をしてきたが、「温度」については物理的な現象であり、日常の生活の中で経験している。

白および明るい色は放射熱を反射し、黒および暗い色は放射熱を吸収する。

JAF(日本自動車連盟)の実験において、夏の直射日光のもと、海岸に駐車していた車60台について調査したところ、最も高い温度(ボディ表面)は黒いボティ色で71.5度、最も低かったのが白で51度。
ちなみに、青色系は62.6度、シルバーメタリック系は57.3度だった。

さて、前回を含めて「色は光」「光は電磁波」といった話もずっとしてきた。
最後に少し驚く話をしたい。

17世紀末、「光とは何か」について、ニュートンVS ホイヘンスにより「粒子説」 VS 「波動説」の争いがあった。結果として「波動説」でしか説明できない実験結果があり「光は波動」となったのだが、実は“粒子の性質”を持っている。

1980年台後半「光ピンセット」と呼ばれる画期的な技術が発明された。
光が粒子の性質を持っていることから、モノにあたって屈折・反射する際に非常に小さな力をモノに及ぼすことを利用したものだ。

光学顕微鏡に赤外線レーザーを組み込み、レーザー光線を対物レンズで集光させて、数マイクロメートル単位の細胞(例:赤血球)やバクテリアを生きたまま、自由に摘んだり動かしたりできる。そして、細胞に傷を付けない。

「光ピンセット」を利用しDNAをも操作できる。
DNA操作については、以前よりずっと実験が行われているようだが、どこまで進化したのだろうか。興味深い。

「光でモノを摘む」、やはり「光」「色」は面白い。

最後に・・・・デザインをする場合には色覚異常の方や高齢の方を相手にする場合は白内障の方がいらっしゃることを忘れてはいけない。

ユニバーサルデザインとして「色」だけで情報を伝えるのでなく、形や文字の修飾で伝えることが大切。一方「色」はデザインとして有用なので、悩ましい課題だ。

参考文献
  「色の秘密」(文春文庫:野村順一)

文責:永井一美

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